最強宗派・天源宗。その筆頭サボリ魔、鳴海隆(なるみりゅう)。彼が宗に入門できたのは、コネのおかげだった。鳴海が努力を避けたわけではない。ただ、この国を守る宗と呼ばれる場所が、実は裏で繋がった者たちで溢れていることを見抜いていたのだ。彼にも多少のツテはあったが、強力な後ろ盾はなく、努力しても勝ち目はないと悟った。そこで彼は、花や野菜を育てる、のんびりとした生活を選んだのだった。 ところがある日、思いもよらぬことが起きた。宗主が全門弟を召集したのだ。年老いた宗主は、後継者を決める時が来たと考えたのだった。これにより鳴海は初めて、宗の内情の複雑さを目の当たりにすることとなった。さらに彼を驚かせたのは、後継者争いの中で、名高き上級弟子の山田桜(やまださくら)が政略結婚を迫られる事態に。そして何と、山田が皆の前で恋人の存在を明かしたのだ。 騒動を傍観しようとした鳴海に、山田が突然指を向けた。なんと、鳴海こそが山田の秘密の恋人だと言うのだ。「はあぁぁ!?」鳴海、頭真っ白。周りからの殺気に背筋凍る。鳴海は唖然とした。これは彼の想像をはるかに超える展開だった……